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■訴訟
当事者同士で解決できないようなトラブルを、裁判所の判断によって、最終的・法律的に、解決するための手段。
法は、「自力救済の禁止」を説いているので、自らが無理矢理、トラブルの解決を行うことを禁じています(例えば、お金を貸したが返さないからといって、借りた人の家に無断で入って、財布をかっぱらってくるようなこと)。そのためには、一定の手続を経て行わなければならないとし、それが裁判手続であります。
訴える側を「原告」、訴えられた側を「被告」といいます。刑事上の「被告人」とは違います。 |
■簡易裁判所の訴訟の特徴
民事訴訟法上、「簡易裁判所の訴訟手続に関する督促(民訴270条〜280条)」というものがあります。その中に、「簡易裁判所においては、簡易な手続により迅速に紛争を解決するものとする(民訴270条)」という規定があります。
簡裁訴訟の特徴は、「司法委員がつく」ということでしょう。裁判所は、司法委員に補助をさせたり、立ち会わせたりして、訴訟や和解の勧試を行ったりします。簡裁の場合、そのほとんどが、訴訟の最初で、和解の勧試があり、和解が行われるでしょう。
なお、このような和解は、「訴訟上の和解」といいます。 |
■少額訴訟
簡易裁判所の訴訟において、訴額が60万円以内の金銭支払請求に関する訴訟については、少額訴訟も利用できます。少額訴訟の特徴は、次の通りです。
| 訴額が60万円以内の金銭支払請求に関する訴訟のみ利用可能 |
| 利用回数制限:1年に10回まで |
| 訴え提起時に、少額訴訟である旨を述べ、少額訴訟利用回数を届け出なければならない |
| 反訴はできない |
| 原則として、1回の口頭弁論期日で終了し、判決言渡し。 |
| 証拠調べ:即時に取り調べることができるものに限る |
| 判決において、3年以内の分割弁済の定めをすることが可能(期限の利益喪失の定めも必要)。この場合、不服申立は不可。 |
| 職権で、仮執行宣言がつく |
| 控訴できない |
また、少額訴訟を提起しても、通常訴訟に移行される場合もあります。
| 通常訴訟への移行 |
被告が、通常訴訟に移行させる旨を述べたとき。但し、被告が、最初にすべき口頭弁論期日において弁論をし、またはその期日が終了した場合は、不可。 |
| 公示送達でなければ送達できない場合 |
| 少額訴訟が相当ではないと裁判所が認めたとき |
少額訴訟は、60万円以下の金銭請求で、事実関係が明瞭で、証拠書類等もはっきりしている等のような場合に、利用しやすいと思われます。 |
■民事調停
当事者同士の話し合いでは、トラブルを解決できない。しかし、かといって、訴訟をするまでもない。そのような場合は、調停の利用も考えられます。
調停は、簡易裁判所で、調停委員を間に入れて、当事者同士が話し合い、互いに譲り合って、トラブルを解決するための法的手段です。ようは、裁判所を利用した話し合いといったところです。訴訟のように白黒はっきりつけるものではありませんし、また、訴訟と違って、非公開です。
民事調停の特則として、消費者金融等からの借金の整理のためにできた制度が、特定調停です。 |
■支払督促
民事訴訟法改正前は、「支払命令」と呼ばれていた制度。
金銭その他の代替物、または有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求に限り使用可能となっています。但し、公示送達によらなければならない場合(相手方行方不明等)には、使用できません。
支払督促は、訴訟や調停とは違い、相手方の意見等を聞くことなく、債権者の言い分だけで行います。但し、相手方が異議を出せば、通常訴訟に移行します(不足分の費用を追加します)。支払督促にかかる印紙代は、訴訟の半分です。管轄は、相手方の住所地を管轄する簡易裁判所の裁判所書記官となっています。
支払督促は、これまた、サラ金業者等が多用しています。東京簡裁では、半端じゃない量の支払督促の申立があるようです。それは、手続が容易で、費用も安く、相手方が異議を出さなければ、早期に債務名義が得られるからでしょうか。実際、当事務所で受任した債務整理で、支払督促が申立てられていたケースは何度かあります(訴訟が提起されていたり、調停が申立てられていたケースもあります)。
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■訴え提起前の和解
即決和解、起訴前和解とも言います。
これは、話し合いで和解が成立したものを、債務名義にしておくものです。通常、あまり利用されることはないそうですが、訴訟より費用が安く債務名義を得ることができるからか、サラ金業者等はよく使うそうです。
また、バブルの頃は、不動産業者も、この制度を利用したといいます。というのも、和解内容を公正証書(強制執行認諾文言付)にしても、その公正証書は、不動産の明渡執行の債務名義にはならないため、即決和解を使って、債務名義を得ていたそうです。
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■それぞれの比較(その1):管轄
訴訟、調停、支払督促等の手続は、それぞれによって管轄があります。
| 訴訟(*1) |
被告の住所地等を管轄する裁判所(但し、合意管轄) |
| 財産権上の訴え(金銭請求等) |
義務履行地を管轄する裁判所 |
| 不法行為に関する訴え |
不法行為地を管轄する裁判所 |
| 不動産に関する訴え |
不動産所在地を管轄する裁判所 |
| 調停 |
相手方の住所地等を管轄する簡易裁判所 |
| 当事者が合意で定める地方・簡易裁判所 |
| 支払督促 |
債務者の住所地等を管轄する簡易裁判所の裁判所書記官(*2) |
(*1)訴訟の場合、複数の管轄が生じる場合があります。例えば、貸金返還請求訴訟の場合の管轄は、被告の住所地等を管轄する裁判所となります。また、金銭債務は、原則として持参債務(借主が直接貸主の元に持ってこなければならない)ですので、義務履行地を管轄する裁判所、つまり、貸主の住所地を管轄する裁判所にも管轄が生じることにもなります。原告は、いずれの裁判所にも訴訟を提起できますので、自分にとって都合のいい裁判所に、訴訟を提起すればいいわけです。
(例1)
貸主:立川市に住所 借主:神奈川県相模原市に住所 100万円の請求訴訟を提起
管轄:@相模原の簡易裁判所A立川の簡易裁判所→どちらの裁判所でも訴訟提起可。
貸主にとって都合のいいのは、家から近い立川の簡易裁判所なので、こちらに提起した方がよい。
(*2)支払督促に対して、督促異議が出た場合は、通常訴訟に移行します。その場合の管轄は、支払督促を発した裁判所書記官の所属する簡易裁判所、または、その所在地を管轄する地方裁判所となります。
(例2)
貸主:立川市に住所 借主:神奈川県相模原市に住所 100万円の支払督促申立
管轄:相模原の簡易裁判所書記官
督促異議が出た場合の訴訟の管轄:相模原の簡易裁判所(例1との相違) |
■それぞれの比較(その2):費用・メリット・デメリット
訴訟、調停、支払督促等の手続は、それぞれメリット・デメリットがあり、またかかる収入印紙代も違います。どの手続が本人にとって一番良いかは、具体的な事情、相手方との関係等によって異なります。
<メリット&デメリットの一例>
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収入印紙代 |
メリット |
デメリット |
| 訴訟 |
訴額に応じて |
一刀両断的判断が下される |
| 徹底的に争いたい |
時間がかかる場合もある(3審制) |
| 手続は厳格 |
| 少額訴訟 |
訴額に応じて |
1回で終わる |
訴額、利用回数に制限がある |
| 控訴できない |
| 相手方が行方不明のときなど、少額訴訟が使えないときがある |
| 調停 |
調停を求める価額に応じて |
訴訟より手続は容易 |
譲り合いによって解決するので、必ずしも、自分の納得できるものとなるわけではない |
| 訴訟沙汰まで事を荒立てたくないが、なんとかトラブルを解決したい |
調停が成立しないときもある |
| 支払督促 |
訴訟の1/2 |
手続も容易 |
金銭・有価証券に関する請求に限る |
| 時間もそんなにかからない |
管轄が相手方の住所地等を管轄する簡易裁判所の裁判所書記官なので、相手方が遠方の場合は使いづらい |
| 相手方に異論がなければ、使いやすい |
相手方が行方不明の場合は使えない |
| 相手方が督促異議を出せば、通常訴訟に移行する |
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